大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 昭和46年(わ)269号 判決

一、本店所在地

京都市右京区西京機溝端町一三番地

法人の名称

株式会社井上油圧機械製作所

代表者氏名

井上太三

二、本籍

京都市下京区二人司町六番地

住居

同市右京区西京極溝端町一三番地

会社役員

井上しげ子

大正一三年四月九日生

法人税法違反被告事件

検察官安部利光出席

主文

被告会社を罰金一、〇〇〇万円に処する。

被告人井上しげ子を懲役壱年に処する。

ただし、被告人井上しげ子に対し、この裁判が確定した日から三年間当該刑の執行を猶予する。

訴訟費用は全部被告会社および被告人井上しげ子の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は油圧機械の製作および販売などを目的とする法人であり、被告人井上しげ子は同会社の質務取締役としてその営業および経理部門を統括しているものであるが、同被告人は、同会社の業務に関し法人税を免れようと考え

第一、 昭和四二年二月一日から同四三年一月三一日までの事業年度において、右会社の事実の所得額は三、四五五万二、〇〇九円で、これに対する税額は一、一八一万八、四〇〇円であつたにかかわらず、売上げおよび修理代金収入の一部を除外し、これを架空名義で預金したり従業員に対する簿外給料に充てたりするなどの不正の方法により所得を秘匿したうえ、昭和四三年三月二九日、京都市右京区西院花田町一〇番地右京税務署において、同署々長に対し、所得金額は三五一万五、九〇六円で、これに対する税額は九五万五、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、正当な法人税額と申告にかかる法人税額との差額一、〇八六万三、一〇〇円をほ脱し

第二、 昭和四三年二月一日から同四四年一月三一日までの事業年度において、右会社の事実の所得額は八、五六九万五、〇三一円で、これに対する税額は二、九二〇万五、六〇〇円であつたにかかわらず、前同様の不正の方法により所得を秘匿したうえ、昭和四四年三月二七日、前記右京税務署において、同署々長に対し、所得額は二、六五一万四、三一四円で、これに対する税額は八五〇万四、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、正当な法人税額と申告にかかる法人税額との差額二、〇七〇万一、五〇〇円をぼ脱し

第三、 昭和四四年二月一日から同四五年一月三一日までの事業年度において、右会社の真実の所得額は一億一、四五四万一、一七八円で、これに対する税額は三、八五九万二、七〇〇円であつたにかかわらず、前同様の不正の方法により所得を秘匿したうえ、昭和四五年三月二八日、前記右京税務署において、同署々長に対し、所得額は三、一一七万四、六四四円で、これに対する税額は九四四万五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、正当な法人税額と申告にかかる法人税額との差額二、九一五万二、二〇〇円をぼ脱したものである。

(証拠の標目)

一、 登記官沢野忠雄作成の登記簿謄本

一、 井上太三作成の定款(写)

一、 大蔵事務官山村秀雄作成の証明書(法人税確定申告書謄本をふくむ)三通

一、 大蔵事務官長沢信夫作成の脱税額計算書三通

一、 同事務官作成の調査てん末書二冊

一、 大蔵事務官西藤勇の松尾伊八に対する質問てん末書

一、 大蔵事務官久米敏幸、尚長沢信夫の松尾伊八に対する質問てん末書

一、 松尾伊八の検察官に対する供述調書三通

一、 大蔵事務官久米敏幸、同松岡啓司の井上太三に対する質問てん末書

一、 大蔵事務官高田耕一の井上太三に対する質問てん末書

一、 井上太三の簿外建物の取得価額に関する上申書

一、 井上太三の簿外社員給料に関する上申書(供述書九通をふくむ)

一、 井上太三の検察官に対する供述調書

一、 被告人井上しげ子、松尾伊八連名の確認書二通

一、 被告人井上しげ子の確認書

一、 大蔵事務官西脇勇の被告人井上しげ子に対する質問てん末書

一、 大蔵事務官西脇勇、同松岡啓司の被告人井上しげ子に対する質問てん末書

一、 被告人井上しげ子の検察官に対する供述調書三通

(法令の適用)

被告人井上しげ子の判示第一、第二、第三の各所為に対し法人税法一五九条一項(徴役刑選択)。刑法四五条前段、四七条、一〇条、二五条一項

被告会社に対し法人税法一六四条一項、一五九条一項、刑法四五条前段四八条二項

訴訟費用の負担につき刑事訴訟法一八一条一項本文

(裁判官 吉川寛吾)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例